To the Manor Born(イギリスのシットコム)
(画像:http://www.telegraph.co.ukより)
「To the manor born」は、1970年から1981年の間に、イギリスBBCで放映されたシットコムです。
25年後の2007年には「クリスマススペシャル」も放映されています。
70年代には、イギリス国内で最も視聴されたテレビ番組としてランクインしています。
私の大好きな
・ペネロピ・キース(Penelope Keith)と、
・ピーター・ボウルズ(Peter Bowles)
の出演です。
ペネロピはThe Good Naighbors(The Good Life)のマーゴット役で出演しています。
彼女のポッシュな話し方が大好きで、出演する作品はいろいろと繰り返して観ています。
上品な話し方なのに、いたってまじめな表情で面白い仕草ができるところが彼女の魅力だと思います。
タイトルの「to the manner born」は、シェイクスピアの「ハムレット」の中のセリフに由来しています。
「To the Manor Born」のあらすじと感想
第一話は、オードリーの夫の葬式のシーンで始まります。
葬式の後、親友のマージョリーと雪景色の散歩道を歩くオードリー。
周りに人気がないことを確認すると、彼女は、悲しむどころか雄叫びをあげて喜びます。
なぜなら、彼女が生まれ育ってきたマナーハウス、フォーブス・ハミルトン家が400年も歴史を誇ってきたマナーハウスの経営を、亡き夫に代わって手中に収めることができたからです。
しかし、喜んでいたのもつかの間。
弁護士から夫が抱えていた借金について告げられます。
その借金を返済するには、マナーハウスの売却が避けられないことも。
競売にかけられるマナーハウス。
必死で買い戻そうと試みるオードリーでしたが、競り落としたのは、英国内にスーパーマーケットを急ピッチで展開していたリチャード・デヴィア氏でした。
キャベンディッシュフードのオーナーであるリチャードは、経営者らしくスーツに身を包んだ、イギリス紳士のたたずまい。
マージョリーは紳士的なリチャードに一目ぼれをしてしまいますが、オードリーは彼の成金趣味が気に入りません。
「成金の食料雑貨商」と一蹴します。
マナーハウスの主人となったリチャードは、数年前に妻に先立たれているので、母親と二人でマナーハウスに引っ越してきます。
「ロンドンで友達ができたのに引っ越すなんて・・・」と愚痴る母。
でもなぜか、母はリチャードのことを「ベドリッシュ(Bedrich)」と呼びます。
そして、彼女の話し方はイギリス英語からはほど遠い外国のアクセント・・・。
彼女はチェコスロバキアの出身だったのです。
リチャードは流ちょうなイギリス英語を話すものの、父親がポーランド人。
だから、半分ポーランド人、半分チェコスロバキア人なのです。
マナーハウスを出ていく日、オードリーは彼女の愛車「ロールス・ロイス20/25」にに乗り込みます。
従業員全員に見送られながら一緒に車に乗り込んだのは、彼女の愛犬と、人生のほとんどをフォーブス・ハミルトン家で従事してきた執事のバービンジャー。
彼らをつれて新しい生活が始まります。
でも・・・・
車が止まったのは、マナーハウスの敷地内にあるゲートロッジ。
「オールド・ロッジ」と呼ばれるその家は、マナーハウスの入り口にありました。
(かつてはマナーハウスの入り口で「番小屋」だった家ということですよね。)
引っ越し先は目と鼻の先です。
マナーハウスの従業員たちは、オードリーを見送ったまま彼女の転居先も見届けたのです。
こうして、リチャードの隣人としてオードーリーの新たな生活が始まります。
親友のマージョリーは、オードリーに仕事をするように勧めますが、
「グラントリー邸宅を経営することが私の仕事だから」
と譲りません。
生まれ育ったマナーハウスから離れることなど考えられないオードリーは、オールド・ロッジからマナーハウスの動きを逐一観察していました。
ときには双眼鏡でのぞいたりとストーカーのようですが、上品なのでストーカーに見えません。
リチャードとオードリーは、最初は敵対に近い関係でした。
でもリチャードのために馬の購入を手伝ったり、オードリーを食事に招待したりするうちにだんだん距離が縮まってきます。
リチャードは、イギリス人ではないにしろ、やり手のビジネスマンで、紳士的。
オードリーを上流階級の女性として扱います。
マナーハウスや周辺地域の作法について、オードリーの助けを借りることもしばしばあります。
一方「番小屋」に住んでいるとはいえど、上流階級の振る舞いは忘れないオードリー。
マナーハウスの主として恥ずかしくないよう、リチャードに度々助言をします。
おすすめのエピソードは、シリーズ1とシリーズ3のあたりでしょうか。
とくに、シリーズ3の後半の一連のエピソードは心が打たれましたす。
リチャードのビジネスが危機に陥り、彼は、損失の穴埋めをするためにマナーハウスの売却を余儀なくされます。
オードリーは叔父から資金を工面できる予定だったのに、その叔父が急逝してしまいます。
そこから、ラストのシーンまでが感動です。(続きはDVDでご覧ください!)
オードリー役は、ペネロピキースにしかできないと思いますし、きっと多くのイギリス人が賛同すると思います。
2004年にイギリス国内で行った「ベストシットコム」の投票でも、いまだに24位に位置しており、根強い人気がうかがえます。
イギリスでは昔のドラマやシットコムが再放送されることがよくあります。
いい作品が忘れ去られることなく愛され続けるというのは素晴らしいことだと思います。
<25年後のTo the Manor Born「スペシャル」>
(画像:http://www.bbc.co.uk)
25年後の2007年には「クリスマススペシャルエピソード」が放映されました。
1981年、ハッピーエンドで幕を閉じたマナーハウス。
25年後のリチャードとオードリーは、それぞれがサプライズを用意して、銀婚式を祝うつもりでした。
ときが経てば、マナーハウスも、周辺の景色も、人々も変わるのは当然のこと。
でも、オードリーにはどうしても譲れない部分がありました。
それは、マナーハウスのある地域に進出しようとしている「ファーマー・トム」という会社でした。
マナーハウスの周りのビジネスの多くは、野菜を作ったり、馬や羊を飼育したりといった農業。
オードリーは「ファーマー・トム」が、周辺地域の人々の生活を脅かしていることを心配していました。
しかし、その会社の所有者がリチャードであることを知り、家を飛び出します。
こうして25周年記念のクリスマススペシャルが始まります。
81年には、あこがれるべき淑女だったオードリーでしたが、25年の月日が経っても素敵なまま。
とてもお上品なおばあちゃんになっていました。
親友のマージョリーも、想像していた通り、可愛いおばあちゃんです。
オードリーを怒らすつもりは毛頭もなかったリチャードは、亡き母の墓を訪れます。
そして「オードリーを取り返す」と母に約束します。
25年たってもこんなに愛されているなんて羨ましいです・・・。
家出をしたオードリーの向かった先は「オールド・ロッジ」。
そこにはマージョリーが住んでいました。
マナーハウスの従業員を引き連れてきたオードリーは、オールド・ロッジを勝手に掃除させて、マージョリーを困惑させます。
ある晩、2人は踊りに出かけることにしました。
上流階級の女性の「踊り」といえば「正装」です。
そのため、2人ともロングドレスに身を包みます。
でも・・・笑。
2007年の踊りの場所といえばディスコとかクラブです。
音楽ががんがん鳴り響くディスコ会場で、場違いな服装をしている老齢の2人。
音がうるさすぎて2人とも頭が痛くなってきます。
騒々しい会場からやっと外に出た二人は、新鮮な空気を吸います。
そして、ペットボトルの水で頭痛薬を飲んでいたら、ドラッグをしていると間違われて連行されてしまいます。
また、オードリーが電話をかけるシーン。
今では当たり前の「自動オペレーター」ですが、その機械の音声に話しかけたり、答えたり、イライラしたり、文句を言ったりします。
70年代、とても素敵だったオードリーが、上品だけど、どこにでもいるようなおばあちゃん役をコミカルに演じていることに好感を抱きました。
ラストシーンのサプライズに心が温まります。
「To the Manor Born」のDVD
「To the manor born」は、日本語字幕や吹き替えのDVDはないみたいですね。
私はイギリスから「To the manor born」のDVDを取り寄せました。
古いシリーズのせいか、英語字幕はありません。
(だから一生懸命リスニングしました)
日本のアマゾンで入手できるDVDに字幕があるのかどうかは不明です。
でも、日本で購入すると高い!
イギリスのDVDセットはイギリスのアマゾンから購入するに限ります。
日本と違ってDVDのセットは、しばらくすると格安になることがよくあります。
送料を考慮してもお得になることが多いですし、いつも問題なく届きますよ。
残念ながら日本アマゾンのアカウントは使えないので、イギリスアマゾンのアカウントを作成する必要があります。
「字幕なし」の私のDVDですが、それでも十分理解できました。
(もちろんイギリス英語です)
難易度は中級ぐらいでしょうか。
初級の後半でもいけるかと思います。
ぜひ、ペネロピ・キースのイギリス英語を一度聞いてみてほしいです!
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